東京オリンピック2020。
1年延期となり、パンデミック禍の中で開催となった異例の大会ですが、ここまで地元日本選手の活躍に沸き立っている中で、実は「小国」と言われる人口の少ない国家からのヒロインが誕生していることに注目してみたいと思います。
メディアでは自国選手中心の報道に傾きがちになってしまうのは残念なところですが、世界の様々な国の選手たちが一堂に会し、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれています。
コソボ
女子柔道でここまで素晴らしい活躍を見せているのが、バルカン半島のいわゆる旧ユーゴスラビアに位置するコソボ。
人口は約180万、面積は岐阜県とほぼ同じながら、実は前回のリオ五輪でマリインダ・ケルメンディ選手が52kg級で金メダルを獲得するなど、柔道に力を入れている国でもあります。
今大会も48kg級でディストリア・クラスニチ選手が、57kgでノラ・ジャコバ選手が金メダルを獲得し、コソボの柔道の層の厚さを見せつける結果となっています。
阿部兄妹の同時金メダルで沸いた7/25の翌日、実はコソボからも姉弟が出場しており、弟のアキルはメダルを逃したものの、姉のノラが金メダルを獲得していたのです。
コソボ柔道選手の金を三条市長はテレビの前で柔道着で正座して観戦
今後も日本に立ちはだかる厚い壁となりそうなコソボの柔道界のヒロインたちに要注目です。
バミューダ諸島
人口6万2000人の大西洋に浮かぶ島国、英国領のバミューダ諸島。
そんな小さな国で生まれたトライアスロン女子のフロラ・ダフィ選手。
英国や米国の有力選手を差し置いて、見事に金メダルを獲得しました！
www.sponichi.co.jp4度目のオリンピック出場でついにメダルを獲得したダフィ選手。
母国の若者たちに、小さな国の出身の選手であってもメダルが獲れるんだと背中を押せたのではないでしょうか。コーチでもある夫を沿道で見かけたときには笑顔になりました。
レースも圧巻の試合運びで、経験の豊富さを生かし並みいる強豪を寄せ付けない盤石の勝利でした。
普段なかなか注目されにくい小国の選手だからこそ、祖国のことを知ってもらいたいという気持ちが選手を後押しするのかもしれません。
サンマリノ
射撃女子トラップで銅メダリストとなったアレッサンドラ・ペリリ選手は、人口3万4000のイタリア中部に位置するサンマリノ出身。
「メダルを獲得した史上最も小さな国」として地元メディアも快挙をたたえています。
CNN.co.jp : 射撃選手が銅獲得のサンマリノ、史上最小のメダル獲得国に 東京五輪
本日行われた混合トラップ団体戦でも銀メダルを獲得し、「射撃王国」としての存在感も高まるサンマリノ。
ペリリ選手は、ロンドンオリンピックではあと一歩となる4位でメダルを逃し、今回にかける思いが強かったようです。
「山椒は小粒でもぴりりと辛い」という言葉がありますが、小さな国だからこそ、卓越した技術を持った選手が輝きを放つ瞬間は美しく見えてしまうのでした。
おまけ：まさに姫！海外選手編
カザフスタン
mainichi.jp開会式で話題になったカザフスタンの騎手を務めた女子三段跳び、オリガ・ルイパコワ選手。
【リアルゼルダ姫】との呼び声もあったゴージャスな衣装が映えます。
残念ながら、決勝には進めませんでしたが、気品あふれる雰囲気で会場の話題をさらっていきました。
コロンビア
コロンビアのアーチェリー女子代表、バレンティナ・アコスタ ヒラルド選手。
SNSやニュースサイトなどで人気が飛び火して大盛り上がり。
自身のinstagramでフォロワーが140万人を突破。
普段のキュートな姿と、試合時の弓を構える際の凛とした表情とのギャップが素敵なニューヒロイン。こちらも残念ながら1回戦敗退となってしまうのですが、次のオリンピックでもその雄姿を見たいファンは多いことでしょう！
今大会のビジョンは「多様性と調和」。
世界の様々な国の選手の妙技を目にするチャンス。
政治的に対立する国同士の選手であっても、お互いをリスペクトし、正々堂々と勝負することができます。
東京2020でも、女子柔道にてイスラエルの選手とサウジアラビアの選手が対戦し、お互い握手を交わしました。
2人の試合は、尊敬と友情を証明する大きな一歩となった。そしてスポーツがいかなる政治的、または外的な影響をも乗り越えられることを示した
（IJF=国際柔道連盟コメント）
様々な困難がありながらも、今大会のヒロインたちが見せた一筋の輝きを、この先も追い続けていきたいと思います。
